主語からの呪文/渡邉建志
 
he said」は永遠に古びることはないだろう。「when I'm 64」だって、あれはポールにしかかけない気持ちが込められていたから、多分100年後に聞いても古くないだろう。(ポールは今年64歳になった)

わたしはわたしが愛する詩人のひとつの詩の主語の使い方について考えている。詩人はわたしときみしか書いていない。でもそのわたしが、いままで論じてきたわたしや、いままで論じてきたきみとは、明らかに違う次元のもので、発信側からすればひょっとして個体性があるのかもしれないが、受信側からすれば、まったくその個体性が見えない「わたし」や「きみ」になっている。そうすれば、二分法からいくと詩人の詩は武満の
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