主語からの呪文/渡邉建志
満の言う、肩を組んで時代の気分に流されるだけのうたになる。しかし二分法ではなく、詩人は他の次元の軸を立てる。平面世界にいる私にはZ軸にいる詩人の存在を確認できない。ひょっとしたら頭上にいるかもしれないしいないかもしれない。「きみ」はぼくのことかもしれないし、ちがうかもしれない。その両方の状態を確率的に抱きながら、詩人はZ軸のどこかで、どこかわからない地図の上にいる・いない。
きみのものではないという、
その声が、
きみの、
ものではないと、その声が
いう、きみの
声がきみのものでは
ないという、その声が、
きみのものである、
と
いう、きみのもの
ではない
声が、きみのものではない
という、
きみの声
こもん passage repeat ?
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