眉のあたりにすずしさの残る少女みたいに/須賀敦子とその「詩集」について/渡邉建志
 
ても同じことが言える。文字が再び乱れはじめる「リヴィアは、/栗色の髪の/夕星の瞳の」そして二枚目に移ってから、また「リヴィアは」と続く。リヴィアを近い行間で二回繰り返すのも、ページを改めたからもう一度言いたかったのかもしれないけれど、やはりリヴィアという名前が好きだったのだろうと思う。私が打った読点(「リヴィアは、」)は編集では打たれていない(紙の染みだったのかもしれない)が、「?、灰、緑」のときの黒い丸い小さい点と、同じ形をしている。私は、これは読点だったと信じたい、スペースや改行では表すことのできない、走り出した須賀の足取りを、読点で速く息継ぎしたのだと私は信じたい、そうでなければリヴィアを二
[次のページ]
  グループ"フレージストのための音楽"
   Point(2)