眉のあたりにすずしさの残る少女みたいに/須賀敦子とその「詩集」について/渡邉建志
人間 が くるしむのは
ばかけてゐるのでせうか。
ヴィクトリア・ステーションにて
ヴィクトリア・ステーションはロンドンの駅。(1959年の夏、須賀はローマから離れて、数ヶ月ロンドンに滞在した。)「ついばみ」の下に、読点に見えるような跡が手稿写真に見える。それは編集で活字化されている「青、灰、緑」の読点の形に大変似ている(それにしても、また色を表す言葉を須賀は使っている)が、手稿はモノクロ写真のため、編集者が削除したものか、紙の汚れだったのかはわからない。似たような黒い点がついばみの「ば」の右下にも見え
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