眉のあたりにすずしさの残る少女みたいに/須賀敦子とその「詩集」について/渡邉建志
 
恍惚の極みに達しているように思う。でも、ここには句点が打たれていて、溺れずに両足で、立っている。でも、うっとりと!



     同情


つめたい秋の朝の
ラッシュアワーの停車場前
がつがつとパン屑をついばみ
せはしげに まばたきして うずまく
?、灰、緑の
鳩の波に
ひとり 背に 首をうづめて
うごかぬ おまへ
セピアいろの 鳩よ。

あゝ
わらっておくれ
うたっておくれ
せめて みなにまじって
わたしを安心させておくれ。

(いろがちがふからといって
 なにも おそれずとよいのだ。)

主よ 一羽の鳩のために

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