眉のあたりにすずしさの残る少女みたいに/須賀敦子とその「詩集」について/渡邉建志
 
なにかを書きたい、わたしはいうべきものをなにか持っているんだ、と思っていたのに、それをずうっと、出せなくてくるしんだ。文学なんかにうつつを抜かしていいのか、現代社会の問題、あるいは日本のカトリック教会の問題を、変えるために何かしなければならないのではないか、といって。あなたは、自分がほんとうに好きなものとしての「文学」と、キリストに召命されたものとしての「宗教」との両極の間を揺れ続けた。さらに加えて、戦後すぐにおいては難しかった女性の自立問題も含めた、社会に対する「行動」という、三つの両立がむずかしい問題を抱えながら、常にその三点のどれかの糸を縒りあわせるように生きた。たとえば宗教的な行動として、
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