眉のあたりにすずしさの残る少女みたいに/須賀敦子とその「詩集」について/渡邉建志
須賀敦子さん、
あなたが、決して長くなかった人生のなかで、なんども行き止まりにぶちあたったり、座礁したりしながら、なんとか舵を切りなおし、べつの生き方を模索してきたその、最後の地点として、理不尽なほど短い期間しか与えられなかった作家という天職に至った、そのとおくとおく脱線しつづけた歩みかたそのものが、いまの私にとっては灯台のように思います。生前に残されたあなたの五冊の文学作品を、随筆と呼ぶか、エッセイと呼ぶか、短篇集と呼ぶかはさておき、それがあなたにとって文学であり、創作であったこと、自分がそう認めることができるものを人生のいちばん最後に残せたということに、私は胸をうたれます。ながい間、なに
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