■批評祭参加作品■ WATARIDORI、または視点についてなお考える/佐々宝砂
いない「ディープ・ブルー」の視点は、人間にある。人間の目でみる物語だからこそ、メタンガスの吹き出す深海の熱水地帯が「地獄」と形容される。そこに住むチューブワームにしてみれば、メタンと硫化水素こそが大地の恵みであり、空気の薄い地上こそが「地獄」だ。だが、「WATARIDORI」はどうなんだ?
「それは"必ず戻ってくる"という約束の物語」と映画の最初にナレーションが流れる。カメラは鳥よりやや高い目線で淡々と鳥を追い続ける。人間を映すときも態度が変わらない。あくまでも淡々として、しかし目線がやや高い。唯一低い目線になるときがあるが、それはコンバインが鳥の巣をなぎ払って進んでゆく
[次のページ]
前 次 グループ"第2回批評祭参加作品"
編 削 Point(10)