■批評祭参加作品■ WATARIDORI、または視点についてなお考える/佐々宝砂
 
ゆくシーンであり、目線が低くなくてはコンバインの恐ろしさが見る者に伝わらないから目線が低いのだろう。とにかくカメラは、やや高いどことなく冷たい視点で淡々と延々と鳥を映す。そして最後にまたナレーションが流れる、「それは"必ず戻ってくる"という約束の物語」。

渡り鳥は誰にそんな約束をしたのだろう。鳥たちは撮影スタッフに育てられたのだそうだが、撮影スタッフに約束したのじゃあるまい。私が思うに、約束の相手は、高いところからも低いところからもものを見られる、どことなく冷たい視点の持ち主だ。叙述法の研究家たちは、その視点を「神の視点」と呼ぶ。しかし、いったい「神の視点」とは本当はどん
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   グループ"第2回批評祭参加作品"
   Point(10)