■批評祭参加作品■水在らあらあの「あるところ」/岡部淳太郎
かもしれないが、これでは「あるところ」の物語そのものの根幹を揺さぶりかねない。同じ連のつづく行で「それは泡で、」「それは夢で、」「嘘で、希望で、輝いて、凍えて」と抽象的かつ観念的な言葉(ある意味「あるところ」が本来指向すべき抽象性と観念性に沿った言葉)が並べられているので、この「日本」という固有名詞はなおさら浮いてしまっている。全体的にムードで読ませる詩なのだから、そのへんの配慮が足りないのは惜しまれる。
第八連以降第十三連まで、「あるところ」へのさらなる肉づけというか、物語の展開が見られる。そこで語られている物語に是非はない。全体の流れの中にすんなりと収まっていて、物語はよどみなく語られてい
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