■批評祭参加作品■水在らあらあの「あるところ」/岡部淳太郎
 
がこの詩を書くきっかけになった事実というものがあるのかもしれないが、そんなことはいまのところどうでもいい。ただ、テクストに表われているものだけを読む。「あるところ」とは何か?
 とりあえず、書き出しは無難である。まるで昔話のような語り出し。「あるところに男と女がいて」と、そう書かれるだけで物語は難なく滑り出していくことが出来る。次の第二連も同様。当たり前すぎるぐらいに当たり前だ。だが、第三連から様子が変ってくる。「あるところ」のはずなのに、急に「なかがみ公園」といった固有名詞が出て来るし、「CUBEとかいう車」も車種のひとつではあるものの固有名詞に近い書かれ方をしている(余談だが、次の行の「青空
[次のページ]
   グループ"第2回批評祭参加作品"
   Point(4)