■批評祭参加作品■ 「 無言の遺書 」 /服部 剛
かった。一生の間で人は多くの
出逢いを重ねるが、同じ方角の道を共に歩む人との出逢いもあれば、
道の向こうから歩いて来るお互いの存在を一瞬気に留めながらも、
何故かすれ違ってしまう出逢いもある。僕と彼の出逢いについてい
えば、三年前の夏に行われたあの朗読会の夜、お互いを知ることな
く通り過ぎてしまった。
僕はしばしば詩友の岡部淳太郎さんと詩の合評をして、お互いの
詩がよりよくなる為にいろいろと論じ合うのだが、昨年末の十二月
三十日は岡部さんが主催の同人誌「反射熱」創刊号が誕生したので
高田馬場のジョナサンに同人で集まり祝杯を挙げ、その後岡部さん
の自宅で行った合評は深夜ま
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