■批評祭参加作品■ 「 無言の遺書 」 /服部 剛
夜まで及んだ。その合間に、岡部さんが亡
くなった若き詩人について書いた「忘れること、忘れないでいるこ
と」という文章をプリントアウトして渡してくれたので私は隣の部
屋に行き、一人になって読んでいると、そこには岡部さんの切実な
想いが語られていた。
岡部さん自身が二年以上前に妹を亡くしているので、夭折の知ら
せを聞くと他人事とは思えないのであろう。その才能に惚れこむ程
の若き詩人がすでにこの世にいないことを知った時もかなりショッ
クだったということ、そして彼が亡くなったことが知られてから更
に数ヶ月が過ぎて、時の流れの中で彼のことが忘れ去られてゆくこ
とに耐えられない気持が読
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