■批評祭参加作品■詩の読み方について/岡部淳太郎
むということである。そうではなく(表面的には、やはり一行目から順を追って読むのだが)、一篇の詩をまるごと俯瞰するように読むのだ。まるで一枚の絵画を眺めるように詩を読むのだ。そのような読み方をすれば、これまで難解だと思えた部分も難解だと思えなくなり、そこに隠されていた美点がにわかに立ち現れてくるだろう。私の考えでは、難解な詩というものはそのような読み方でしか味わうことは出来ないと思う。
だが、それには少しばかりの慣れやセンスみたいなものが必要になってくるかもしれない。どうしても散文脈から離れられない人もいるのだ。しかし、多くの詩を読めば読むほど、しだいに詩を読むコツのようなものがわかってくる。それは頭ではなく、肉体的につかみとってしまうものだ。読者よ、詩を読む時は心を静かに保つが良い。そうして平静にしていて、散文脈の誘惑から巧みに逃れて詩を読むのだ。そうすれば、やがてそこに隠されていた息づまるような抒情が、あなたを静かにとらえ始めるであろう。
(二〇〇六年十二月)
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