詩想 ?6/黒乃 桜
ピョーンって音がすればいいのに。
それってすっごい可愛い音じゃない?そしたらきっと楽しく弾けるはずなのに。
真っ白くて硬い鍵盤に、同じような指を置いて苦笑した。
ピョーンじゃなくてバーンって重たい音がするような気がした。
それはきっと気分まで重くしてしまいそうな気がしたから、弾くのをやめて逃げるようにピアノの蓋を閉めてしまった。
こんな風にする事を、逃げているのだ、って言われるかもしれない。
いや、かもっていうか、言われてる。きっと。
「不味いピアニッシモ・・」
ベッドにダイブして、由夜から貰ったピアニッシモの箱を見つめる。
綺麗な綺麗な、白。それはその箱も同じはずな
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