遺書(3)/虹村 凌
一条の光。今までの人生で、何度かその光を目にした事がある。絶望、それも深い絶望の中にも届く光は、どんなに心を奮い立たせる事か!狂信とも言える程に、その光を盲目的に信じ(光を盲目的に信じる、と言うのは可笑しいけれど)、我武者羅に進む事が出来る。その結果、絶望に死ぬ事は無く、晴れて、生き延びる事が出来た。そうそうある事ではないが、そう感じる事はいくつかあった。勿論、その光有るが故の副作用とも言うべき、負の効果もある。信用や金、その他の何かしらを失っている。絶望の中で死ぬ代わりに失うのだから、俺個人としては、それほど痛手でもない。絶望の中で死ぬ代わりに記憶を失う、などと言われたら、俺はかなり悩んだ挙句
[次のページ]
次 グループ"遺書"
編 削 Point(0)