「名」馬列伝(15) クラキングオー/角田寿星
た牧場主は彼の右前脚をガチガチに固め、牧場に戻した。
通常、重症を負ったサラブレッドは、患部の脚元に負担がかかり、蹄葉炎を発症する。
蹄からばい菌が入り、やがて蹄が、脚がどんどん腐っていく。
ついには立ち上がることも出来なくなるほど衰弱し、死んでいくのである。
しかし、彼の場合は違った。自ら脚元に負担がかからないよう、じっと静養していた。
心配していた蹄葉炎にも罹ることなく、奇跡の生還を成し遂げる。
奇跡の生還から6年。彼は種牡馬としてデビューした。
ただ一頭の産駒、それがクラキンコ。
母のクラシャトルも北海優駿に勝った名牝であり、道営重賞を父母合わせて10勝した「名血」である
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