犬の名は全て一郎 (お暇な時にでも読んで下さい・・・)/ふるる
何故僕の名なんだ。」
詰め寄ると、華子は黒目がちな瞳で、じっと一郎を見た。
「一郎ちゃん、ちっとも遊んでくれないのだもの。」
「・・・・・」
「一郎ちゃんが遊んでくれなくなってから、華子はずーっとずーっと寂しかったの。」
「遊んでくれなくなってからって・・・いつの話だい。」
「八年前くらいからよ。この八年間、華子は寂しかった。それで、犬でも飼ってみようかと思って。」
一郎は困った。話が、あらぬ方向へ行こうとしている予感がする。それに、華子にじっと見つめられると、訳も無く頬が熱くなる。
「でも、一郎という名の犬をどれだけ飼っても、だめだったの。犬はとてもかわいいけれど、やはり一郎ちゃ
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