犬の名は全て一郎 (お暇な時にでも読んで下さい・・・)/ふるる
ちゃんでないと。」
さすがに恥ずかしいのか、華子は頬をほんのり染めて、縁側にのの字を書いている。
「華子、一郎ちゃんの許婚になりたい。」
まさに、晴天の霹靂とも言うべき、華子の告白だった。犬の名のことを問うつもりが、こんな事になってしまうとは。
「だがしかし・・・成長してからは年始に会うだけなのに、許婚なんて。」
激しくなる動悸をなだめつつ、やっと一郎は言った。そんな一郎を見ながら、華子は尋ねた。
「一郎ちゃん、一昨年のお正月におじい様から盆栽を頂いたでしょう。」
急に話が変わったので、一郎はとりあえず頷いた。一昨年の年始の挨拶に集まった折、何故か祖父から松の盆栽を譲られたのだった。
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