俳句の非ジョーシキ具体例4/佐々宝砂
ローソクもつてみんなはなれてゆきむほん (阿部完市)
このひとは現役ばりばり俳人で、ネットで検索するとたくさん句を読むことができるので、探して読んでみてほしい。普通の有季定型俳句も書く人なのだけれども、その普通の有季定型俳句ですら、このひとの場合はなんやら不思議なのである。たとえば完市には「慎重に銀木犀を思いたり」という句がある。銀木犀は確かに季語だ。そして確かに五七五の定型だ。じゃあこの句はふつーに「銀木犀」を書いた句か。もちろん読めばわかるようにそんなことはない、「慎重に銀木犀を思う」ことを書いた句なのだ。こんなの書くひとなのだから、タダモノではない。しかし、この銀木犀の句は、イナカの句
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