自由について/佐々宝砂
 
翼がほしいって
貴方は言う

力強い翼があれば
広い広い空を自由に羽ばたいてゆくだろう
そしてどこまでもゆくだろう
見たことのない大陸の
想像したこともない遠い空へ

それを聞きながら
私は不思議でたまらなかった

貴方は気づかないのね
気づかないまま
年をとってゆくのね

そこの曲がりかどで右にゆくか左にゆくか決めるのは
いつだって貴方なのに

私の目には翼が見えるの
貴方の背中に
道ゆくひとすべての背中に
道端で昼寝している老いた犬の背中にさえ

だけど私には翼がない
だから私は歩いてゆくわ
貴方のいない方角へ
ひとりで
自由に




パキーネ(Pakiene)名義で発表。ちなみにこれはポエム。

   グループ"ポエムス(パキーネ詩編)"
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