小詩集「マルメロジャムをもう一瓶」/佐々宝砂
以上、おしまい。
ごぼうに対して油揚げが少なすぎるという意見もあろうけど、
当時の油揚げは今の油揚げと違って大きかった、
その大きかった油揚げの一辺に包丁入れてそーっとはがして、
一枚のものを二枚のものとして使ってるんだから、
こんなもので充分なのである。
牛肉は使わなかった。
というより買えなかったんだからしかたない。
そういえばダシも入れなかった。
油揚げがあればそんなの要らないと思ってた。
油揚げのあるかぎり。
私は生きてゆけるだろう。
[待つ]
風は火薬の匂いを漂わせ
どんより曇る空は嵐の予感を漂わせ
あたした
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