小詩集「マルメロジャムをもう一瓶」/佐々宝砂
きながら
手がただれるほどおにぎりを握って
そのあとはいつものように湿った布団で
あたしのものはあなたのもの
あなたのものはみんなのもの
だからあたしはみんなのもの
それから朝がきて
あなたはバリケードの中へ
あたしは自転車こいで工場へ
工場はバリケードで封鎖されてはいなかった
今日も働けとベルが鳴った
[油揚げのある限り。]
1967年のとある土曜日。
あたしは八幡巻をつくった。
民青お料理教室風八幡巻 レシピ
ごぼう 1本
油揚げ 5枚
かんぴょう 数本
醤油 適宜
砂糖 適宜
酒 適宜
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