風のオマージュ その5/みつべえ
 
れからさらに茫々と歳月は流れた。我ながらすばらしく無駄に生きたもんだ(笑)。あ、そんな話は置いといて、その時間の経過に変色し、いまにも崩れてしまいそうなページをそっとめくって一篇の詩をさがす。
「子守唄のための太鼓」。これが私が清岡さんの言葉に触れた最初の作品。

 二十世紀なかごろの とある日曜日の午前
 愛されるということは 人生最大の驚愕である
 かれは走る
 かれは走る
 そして皮膚の裏側のような海面のうえに かれは
 かれの死後に流れるであろう音楽をきく

 うん、「人生最大の驚愕」っていうのが当時の私には新鮮だった。とくに「きょうがく」と顔面を歪ませて発音するのが(
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