風のオマージュ その6/みつべえ
☆小山正孝「倒さの草」の場合
草むらに私たちは沈んだ
草たちは城壁のやうに私たちをくるんだ
倒さの草たちのそこの空に白い雲が浮んでゐる
青ざめたほほと細いあなたの髪の毛と
草の根方を辿つてゐる蟻と蜘蛛と
しめつた黒ずんだ土と・・・・・
暑い夏の日だつた
あなたとはもう縁もゆかりもないけれど
今も思ふ
純粋とはあれなんだ
起きあがつた時のあなたの笑顔とすずしい風と
美しいくちびるの色
恋人と草むらに倒れこんで逆さの角度から見上げる空と雲。私にも覚えがある青春のスナップショット。これもやはり1962年に脱稿された「戦後の詩」からの引用で、編者
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