風のオマージュ その8/みつべえ
☆石原吉郎「若い人よ」の場合
私はちがうのだ若い人よ
私はちがうのだ
私の断念において
私はちがうのだ断念への
私の自由において
堤防はそのままに
堤防であり
空はそのままに空であることが
私の断念のすべてだが
しかしちがうのだ
通過することが生きることの
はげしい保証である爪先は
私にはとどかないのだ
若い人よ
奇妙な言い方だが、私は生身の石原吉郎を一度だけ間近で見たことがある。1974年か75年当時(もう記憶はあやふやだ)、つまり私が絶世の美少年(笑)だったころの東京の、たしか場所は八丁堀の勤労福祉会館だったと思う(思うだけで自信
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