黒頭巾ちゃんと仮面舞踏会/チアーヌ
来ると、おおかみは黒頭巾ちゃんの腕を離し、背中をトン、と押しました。
「まぁ、いいさ。楽しんで来いよ。久しぶりの舞踏会だろ」
黒頭巾ちゃんが何かを言い返そうと振り向いたとき、おおかみはもういませんでした。
ワルツを踊る人たちの群れの中に紛れ込んでしまったのです。
あのおおかみことだから、すぐにパートナーを見つけて楽しむつもりなのでしょう。
(勝手にやればいいわ)
そう思いながら、黒頭巾ちゃんが踵を返して、周囲の道化師たちが差し出すシャンパンを受け取りながら歩き始めると、向こうからブルーのドレスをを来た女がにこやかに合図をしながら近づいてきました。
「誰よあなた?」
何しろ
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