黒頭巾ちゃんと仮面舞踏会/チアーヌ
 
つけてその場に現れるのがルールなのです。

 身支度を終えた黒頭巾ちゃんが、お庭で咲かせたオールドローズで作った香水を、太腿の内側と手首と耳朶にそうっと擦り込んでいると、ドアを開けておおかみが部屋の中に入ってきました。
「おい、もうそろそろ出かける時間だぞ」
「今、行くわ。あら、あなたも素敵ね。いつもの顔の、何倍もいい男じゃない」
「お前はのセリフはいちいち余計だよ。たまには素直に、俺を褒めたらどうだ?」
「これでも褒めてるつもりよ」
「どうだっていいから早くしろ。本当に、女は支度が遅いから困る」
 黒頭巾ちゃんは溜め息をつきながら立ち上がりました。
 楽しいはずの仮面舞踏会に、
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