ライオンさん(愛・雨・絵・王)/木屋 亞万
みてね興奮の余りふわりと揺れるんだ
僕らは真夜中の動物園で
係員の目を盗み語り合った
金色のタテガミが闇の中で
月明かりにぼんやりと光っていた
僕らが食べてきた獲物もきっと空に帰っていったんだ
血を大地に垂らしながらむさぼり食われた可哀相な獲物達
ライオンさんはそれを知っていて毅然とした態度で生きてるんだね
獲物達は雨になり水になり僕らの身体になり愛になり命になって
僕らのことを静かに見ているんだなあ
ライオンさんのタテガミは彼らの感謝と応援の証なんだと思う
ライオンさんはくすぐったそうに目を閉じ
照れくさそうな笑顔でまどろんでいた
ライオンさんの家族や友達は
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