フライング・アイス/木屋 亞万
 
靴の中身が煮えてきた
シャツは背中に張り付いて
ベタベタとした初夏の汗が出る
まだ夜は寒いので春のシャツで
上着を脱いでも身体は熱いまま
刺すような日差しに萎びる空気
プールがあれば倒れ込みたい
雨が降れば傘を捨てて走り出す
雪女がいれば抱きつきたい
そんな想像に脳内納涼しながら
力なく歩く帰りの道すがら
駄菓子屋の前でミイラになって
白い業務用冷凍庫の中の霜を
ちらりと横目に盗み見る
霜に囲まれた氷のオアシスには
みかん味のかき氷が入っている
オレンジの丸いカップは
白夜の太陽のようにこうこうと
脳内に納涼の透明感を与えてくれる
木のへらスプーンがシャリリと
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