夕焼けヒッチハイク/木屋 亞万
黒い雲です空一面
私は黒い傘を持って
駅まで旦那を向かえに行きます
雨が降るだろうと思っていました
天気予報で小娘、憂鬱な芝居をしながら
急な雨にご注意くださいと言いましたから
人間的に信頼ならぬ小娘だから
予報は抜け目なく当てると思いました
夏、湿度が残る駅の階段
黒ずんだ白い床に立ち、旦那が帰るのを待ちます
二人で歩いて帰るという少し先の自分を想像し
旦那が恋しくなります
夏の終わり、一七時半頃に家事を繰り返すだけの
自分が切なくなることがあるのです
虚しさは自由の影として、別の選択への羨望に駆り立てます
退屈は安定の副作用として、刺激と衝
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