はるについて(ホットケーキ)/木屋 亞万
やわらいだ寒さに薄着で出かけたいあたたかいものをいれた水筒
日を束ね春と呼んではいるものの二度と同じ日は集まらない
だれ一人おなじ人間などいない一回きりの春も同じだ
「つくられたばかりのせかい」に過去として連なる歴史(要検討)の
情報があれば何十億年も300秒もおなじ重みよ
温かいつめの中で逡巡し歓送迎する小さな社会
フライング 薄手のコート 北の風 さくら はなみず 夜の冷え込み
土手にいたゆきんこ雪をまるまるとかためたものをくれた啓蟄
とけかけた雪はぼんやりつめたさのないままあたたかくなって死ぬ
常温
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