カモノハシのパンセ4/佐々宝砂
 


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怖いのは科学技術の発展ではない。想像力の鈍磨だ。私はそれがいちばん怖いのだ。

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自分と似たところのある人々との交流は、ものすごくラクだ。何も言わないでそれでも温かい家族の団欒の心地よさ。説明しなくてもわかってもらえる心地よさ。相手の言うことが努力なしにストンと腑に落ちる心地よさ。それは誰にも理解できる心地よさだろう。しかし、その心地よさだけに浸っていては、未来がない。身内だけを愛してゆきつくその先は、紛れもなく衰退と頽廃の袋小路ではないか?

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自分とは違う存在に近づこうとする。自分とは違う存在を理解しようとする。歩み寄ろうとする。私はそうい
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