沈黙の内側、ダイヤグラムは途切れたものばかりで体裁を整えている(5)/ホロウ・シカエルボク
っていなかったというだけの。幽閉されて殺されるそういう感情たちは、いったいどれほどの間心の暗闇の中で目を見開いているのだろう?いつかは表出することが出来る、いつかは適当な言葉を振り分けられて肉体から零れ落ちることが出来ると―生れた以上、それは隠されるべきものではないのだ。そこに生まれた以上…たとえばそれが、なんら言葉を当てはめることなど出来ないような厄介な代物だったとしても。
そこまで考えたとき、俺は(本当に)気がついた。腐臭が言葉を持っていないのは、それが俺の中で腐ったものだからなのだと。こいつがこんな陰気な目つきを持つ前に、俺が何らかのフレーズをこいつに当てはめてやらなければならなかったのだ
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