ワカバグモ (百蟲譜43)/
佐々宝砂
自然の草の色に似ている。
たとえるなら稲科植物の
たとえばエノコログサの
淡くやさしい新芽の色。
人工的な色にも似ている。
たとえば小さなころ大切にしてた
プラスチックビーズのネックレスの
安っぽい半透明の緑。
指先に乗せると
八本の脚を丸めて
ちいちゃくなる。
そのままピアスにしちゃいたい。
ワカバグモのピアス。
どこにも売ってそうにない。
(未完詩集『百蟲譜』より)
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