ヒトリガ(百蟲譜45)/佐々宝砂
 
青白い殺虫灯に
まっさきに誘われて
バチバチと音を立てて
まっさきに死ぬ。

燃え上がる火を見つけると
後先知らず飛び込んで
一瞬火の粉を吹き上げて
あっというまに死ぬ。

光に惹かれる。
そのようにできている。
明るい日の下に生きる
真昼のイキモノには判らない。

光を見出し光に灼かれるのは
闇を知るイキモノなのだ。



(未完詩集『百蟲譜』より)
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