カマドウマ(百蟲譜9)/佐々宝砂
 
さびしい秋の夜の
さびしい田舎の
さびしい家の
さびしさが

さびしさのあまり
ちいさく凝って
足をはやして
ひょおんと跳ねる

さびしいね ひょおん
さびしいよ ひょおん
それは

さびしい私のひとりごと
カマドウマは
なんにも言わない。


(未完詩集『百蟲譜』より)
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