ヒシバッタ(百蟲譜15)/
佐々宝砂
春たけなわの
野菜畑のかたすみ
耕すのに疲れて
うんとこしょと腰をおろすと
小さなスプリングが
ぴんっ
と跳ねて
黒い長靴の上に乗る
その乾いた土色の菱形は
まるで泥汚れみたいに
つまんなく見えるけれど
ああ見えてね
面構えはエラソーなのだぜ
トノサマなみにね
(未完詩集『百蟲譜』より)
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