ハエトリグモ(百蟲譜48)/
佐々宝砂
がらがらと開ける
明け方の雨戸に
ひょいと跳んできたら
ちょっとだけにらめっこ
あしどりかるく
自分のおまんまを
きちんと自分で稼ぎ出す
この勤勉な同居人は
何を食べたかもぐもぐして
ちっとも落ち着きがなく
すぐどこかに行ってしまう
そんなだから
そのつぶらな眼のあいらしさを
知るひとがすくないんだよ
(未完詩集『百蟲譜』より)
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