ユウレイグモ(百蟲譜39)/
佐々宝砂
ふあんふあん。ふあん。
重力よりも
風力を強く感じていそうな。
ふあん。ふあんふあん。
糸みたいに細い八本の脚は
這っているのか飛んでいるのか。
脚のまんなか吊り下げた胴は
浮いているのか飛んでいるのか。
いつでも所在なげにみえる。
神社の苔のうえでも。
庭木の陰でも。
だけどそれがきみなんだよね。
その揺れはきみなりの威嚇なんだよね。
ふあん。ふあんふあんふあん。
(未完詩集『百蟲譜』より)
前
次
グループ"百蟲譜"
編
削
Point
(3)