アメンボ(百蟲譜40)/
佐々宝砂
どうせなら
綺麗な水に浮かべばいいのに
ほんのすこし先に
飲めそうな水流れる小川があるのに
にごった水たまりにいる
無数のアメンボ。
そのものすごい密度といったら
日本の人口密度もかなわないくらい。
その脚がつくりだす波紋も
お互いに干渉しあって
わけがわからないんじゃないか。
そう思いながら水面をちょんとつついた。
やめとけばよかった。
アメンボってやつは人の血も吸うのだ。
(未完詩集『百蟲譜』より)
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