妻とひと日を・・・・・/生田 稔
なにごともなき世望めど一遍のフィクションならめ末の期の世よ
店の名のひびきもよくて二人してまた立ち寄りしうどん川福
神を信じて疑わぬ妻ととも三十年の奉仕生活
冬浅きあしたに降れる淡雪の積もれるごときモデルを描く(クロッキー)
降り立てば人影もなき旭川今は樹氷の大雪山か
吹雪にも負けぬ体を持ちし頃友と歩きし氷の街を
雨の日に拾穂庵きてぜんざいを秋の小鳥の来きて鳴きけり
春のきて雪が融ければまた来きて庭の絵をおば描きたきものよ
鶺鴒(せきれい)の庭に漫歩す格好を面白いとてともに目でおう
漬物を買い夕飯はみりん干たらこ白米ホッカホカ
家
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