妻とひと日を・・・・・/生田 稔
 

家にあらば昼の疲れのいでしゆえ軽きいびきに妻はい眠る

遠くから小鳥さざめき雲多き空を眺むば澄める風そよ

薄暗く雨降りの歩道しとしとと路面打つ雫一つ二つ

風鈴を吊るし鳴るを待つ秋風の一陣吹けばキタカタと音

冬苺野菊と蓼を摘みつつも妻と行きけり夕暮れの路

稲荷ずし缶ビールささやかなり良き食事じゃと神いつも言いたまふ

家出ずば曇空にはあれど瓜形に月がかかりており候

キリストも神ですら人を捨てるは難しきかなああ難しき

歌になす何事もなき昼のベンチに座り山を見む

山二ついや三つあり空は曇り風そよと吹く師走の駅に

なぜかしら歌集出せず金もなくわが歌
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