■批評祭参加作品■ アンファンス・フィニ/和泉 輪
 
落ちて、大きな川のやうに、私は人と訣れよう。床に私の足跡が、足跡には微かな塵が・・・・、ああ哀れな私よ。}
「大きな川のように人と訣れる」とは一体どういう意味だろう。思い返してみれば私の学生時代、同窓の学生たちは共通の目的意識を持って集まっていた。そして最終的に目指す方向は違っても、少なくとも在学中は無事 卒業することを目的とし助け合っていたように思う。だが卒業を機に連絡が途絶えがちになり、やがて疎遠になっていった友人もたくさんいる。もちろん仲違いした訳ではない。ここで私はようやく「大きな川のやうに」という比喩の意味に気付く。大きな川には幾つもの支流・分流がある。異なる名前で呼ばれていた支流が本
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