不寝番?みずの瞑り  デッサン/前田ふむふむ
 
界の近視者の堕落が、深夜繰り返される案山子たちの舞踏会を、演じさせた烙印を知る者にとって、個の良心によって行われている、偶然は、やがて必然となるのだろうか。そして、消してあるテレビの画面の中で、卑屈な歪む顔が浮かぶ危うさは、今や全くの自由を手にした、鴎の群れが、空の青さを持てあましている時代の、古い写真の中で遠吠えをする、狼の危うさだろうか。禁煙した者の部屋に置いてある、鼈甲の灰皿には、黴の生えた古いタバコが、燃えている。それは、遺書を読み上げる結婚式が、行われた夜、壊れかけた信号機のある無人踏切に、二人で現れる見知らぬ幽霊が、夜ごと、焚き火をしながら、最後の薄汚れた口づけに美しく微笑んでいる、そ
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