不寝番?みずの瞑り  デッサン/前田ふむふむ
 
だ色紙の上に染めず、
静かな湖面の目次の上に、彫の深い櫂を、
差し込むことが出来るだろう。
伸び伸びとした櫂の指先のあいだから、
ひろがる地平線のない群青の空に、
無限の追悼を、描けるだろう。

子供たちは、わたしを置き去りにして、
   夏の饒舌な木霊を、真昼のみずのなかに、
        溢れさせていくのだ。
わたしは、振り返るように、見つめる。
あのうすい布がはためく、鳥瞰図のなかの岸を。

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十二音階の技法によるピアノ伴奏で、老いた両親が、わたしに子守唄を歌う、繰り返されるその調べは、多くの危うさと、わずかな真実があるだろう。かつて、世界の
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