不寝番?みずの瞑り デッサン/前田ふむふむ
、
茶碗一杯の過去も飲み干せない、
理性の疲労を、さらけ出すのだ。
暗闇を引き摺るように。
蒼白い居間に、逆さまに吊るされた、
天秤の絵画がゆれて、
轟音をたてて死んでいる夜に、
わたしは、置き鏡に映った、
ひとつの孤独な自画像を、
見ることができるだろう。
だが、埃のついた、こころの眼窩を反芻しても、
ひかる空に戯れる、子供たちの透明な窓に、
紙飛行機をたおやかに、
飛ばす無垢な過去は、味わえないだろう。
(二つの比喩)が続けられている。
子供たちは、過去を知らないからこそ、
自由に過去と、うねりを打つように、戯れて、
過去を、歪んだ色
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