不寝番?みずの瞑り  デッサン/前田ふむふむ
 
に浸り、
わたしは、咀嚼したはずの霊安室の号哭が、
劫火をあたためながら、抒情的に、生みだされて、
ときより、失われた水辺が、弧を描いて、
この胸のなかを、高らかに、はばたく午後に、
いつまでも、立ち会っていることに気付く。

降りつづける星の草々たち。
浮かび上がる凛々しいかなしみたち。
暗闇のひかりを、帯びて、見つめて――、
              泣いて、――、

(濁ったみずの地獄)が沸騰する。
夜に置かれた手は、冬のひかりをくゆらして、
小川の浅瀬をくすぐり、
鋭利な冷たさに、触れようと試みる。
そのとき、
わたしのなかで、惰性に身をやつす皮膚が、
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