【道化】/穢土
懐にしまい、
路傍の石を蹴り上げ絶叫した。
『俺は死を望んでいる。美とは何だ。美を与えたまえ』と
錯乱した酩酊状態で探究心いや生甲斐というか、
俺の情熱は早くも挫けそうになった。
路傍の石に手が生え両脚をつかみやがるし、答が返ってこないんで、
凄味を加えて石に焼きを入れた。
ムカついた挙句にカラスを殺し、滴る血を路傍の石にくれてやった。
火をくべて、立ち昇る煙で拙そうなカラスの肉汁が滴り落ちる。
ご馳走だ。猫や犬の獣類が貪り食べる様を、逢う魔が刻、眺めていた。
錯乱が錯乱を呼び狂態と夢魔の妖艶に捕り付かれていた鼓膜に、
微小なパルスが囁いたほんの僅かな刹那、それを捉え
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