【道化】/穢土
しようとしない。
至って俺の先祖は日々平穏無事に暮らしたのだろう。
夜這いを伝統とし慎ましく質素に漂い、
口裏を合わせ和をもって尊しとなしてきた。
大輪の花を咲かした付けはヘタレを増産し、
気丈に振舞う眼に媚び諂う景観は、夕暮れとともに消えてゆく。
どうかしちまうのも無理はないが、如何せん欲求不満が足りない。
動物園で欲情する哺乳類の本能は、
人類の原子的生存欲求と同等であろうが、
知性がブレーキをかけちまう。
長い間、漂って辿り着いた景色は、清浄でもない一時の安寧だ。
長くなったが本題に入ろう。俺が長い迷宮の出口で見たものは、
狂気と欲望それに強迫と怠惰それに締念の{
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